手を伸ばした先に、お前がいると信じて疑わなかったんだ。

いつも。

いつでも。

今でも。

でも、この手は空切って・・・何も掴めない。



何故だろう。

何故、お前は私の傍にいないんだろう。

何故、私はお前の傍にいられないんだろう。



嘘つきだ。

お前はやっぱり嘘つきだ。

一生傍にいてやるって偉そうに言ってたくせに。

自分勝手で。

こっちの気持ちなんて気にも留めないで。

傲慢で。

勝手に全部丸め込んで。



嫌いだ。

そういうところが大嫌いだと思うのに。




悔しい。

だって同時に愛おしいんだ。

いつもの軽口とか。

ぶっきらぼうな答え方とか。

そんな態度がお前らしくて、思わず笑ってしまう。

ああ、ずっとこのままでいられればいいのに、なんて・・・望んでしまう。

馬鹿だろう?

魔性の王を独り占めなんかできるわけないのに。

愚かしいことだと、傲慢だとわかっているのに。

望んでしまうんだ。

お前がいない、今は特に。



母様が羨ましい、と最近よく思う。

父様からずっと愛されて。

死んでなお、その心を占め続けて。

死ぬまで傍にいて。




私もそんな風にお前の心を束縛できたなら。

それなら、あんな悲惨な最期も迎えても悪くないと思うんだ。

こんな風に思うなんて本当に馬鹿だと思うけど。

正気じゃないって思うけど。

でもお前のその目で見つめられて、ずっと傍にいて。

突然失って・・・どうして正気でいられるだろう。

後戻りできないところまで、もう引きずり込まれている。

引きずり込んだのはお前なのに。



待つな?


ふざけるな。



待ってろ?


ふざけるな。



いつまでも私が大人しくしていると思っているのか?

私に堪え性がないのは、お前が一番分かっているだろうに。

私には二本の足があるんだ。

お前を追いかけられる足が。

もう待てない。

もう待ってやらない。

世界の果てまでだって追いかけてやる。

見つけ出してやる。

絶対に。

そして、一発殴ってやるんだ。

いつかの時のように。

「お前は私を何だと思っているんだ!!」って。

今度は向日葵ぐらいじゃ誤魔化されない。

もう二度と離れないと約束させるまで許してやらない。

欲しいモノは声を大にして欲しいと言えと言ったのはお前なんだ。

言ったことの責任は取って貰う。

それぐらいは許されるだろう?





さあ、行こう。

お前だけを求めて。

お前のその深紅・・・私から隠せると思うなよ?









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ラスのモノローグ。
イリアが帰ってきたぐらいの頃かな?
どういう状況なのかサッパリ分からないので想像のままに。


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